背負いすぎてしまう方へ ー我慢の限界のたとえ『最後の藁』ー

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背負いすぎてしまう方へ ー我慢の限界のたとえ『最後の藁』ー

2019年06月13日

最後の藁 とは?

「最後の藁(ワラ)」という言い回しを聞いたことがありますか?
「the last straw」英語の慣用句として使われます。

全文としては
「Itユs the last stra w that breaks the camel’s back.
(最後のワラ1本がラクダの背中を折る)」というものです。

ラクダの背中に沢山の荷物を積んでいって限界に達したとき
あと一本のワラでも載せてしまったら、重さでラクダの背骨が折れてしまう。
そういうことを物語っている慣用句です。

今回は少し厳しい話になります。

ご自分の過去を振り返っていったとき
この「最後の藁」のような経験はなかったでしょうか?
私には、いくつかそういう出来事が思い浮かびます。

問題の積み重ねが大きなトラブルを生む

「最後の藁がラクダの背中を折る」という話そのものは
聞く人によって違った解釈を想像する場合もあるようです。
ここでは、いくつかのケースに当てはめて話を進めていきます。

たとえば、仕事でトラブルの起こったケースを考えてみると
その原因が1つではないことは多々あるはずです。

いくつかの問題が起きているのに、それが表に出ていない時期が過ぎる。
そして問題が積み重なってきて、1つのキッカケでトラブルが表面化する。
店舗にクレームが起きる時などには、よくあるのではないでしょうか。

その場合に、問題を解決しようとしてトラブルを
起こした表面的なキッカケだけに取り組んでも
なかなかトラブルは減らないものです。

それ以前に積み上げられてきた数多くの
問題を洗い出す必要があるはずです。

私が会社で研究をしていた頃にも、そういう事はありました。
国内で製造していた商品を、コストメリットのある海外で
製造しようとしたときの事です。

実製造のときにミスが起きると原料費なども含めて打撃が大きいですから
事前に何度もテストをするわけです。

日本の工場と、海外の工場では違うところが沢山あります。
設備にも、原料にも違いがあり、気候や水にも違いがあります。

ですから、その違いを意識しながら数多くのテストを繰り返し、
問題を解決しながら実製造に備えるのです。

実製造の直前までは順調に来ていました。

 

表面的には問題が無さそうに見えたわけです。

ところが、実際に製造の段階に移ってみたら、大失敗が起きたのです。
実製造の直前のプロセスまで、隠れた問題が積み重ねられてきて
それが本番の小さな問題で表れたのでしょう。対策が私のところへ回ってきました。

実製造の直前まで問題が無かったわけですから
トラブルの原因は最後の実製造のところにあると考えるのが一般的だったようです。
しかし、実際に解析をしてみたところ、トラブルは「最後の藁」で起きていました。
小さな要因が積み重なって、大きなトラブルを生んでいたのです。

個人の限界を超えてしまう

「最後の藁」の内容をより直接的に捉えると
仕事の量やストレスが重なり過ぎたケースが思い浮かびます。

多くの仕事を抱え込み過ぎてパンクしてしまう…。
頼まれた仕事を全て引き受けて
寝る時間がないほどに忙しくなってしまう…。

本当は苦手なことをやっていてストレスがかかっているのに
我慢を続けてストレスを溜めこんでいく…。

まさにラクダの背中に荷物を沢山のせている状態です。
そこに「最後の藁」と言えるような出来事があると
一気に崩れてしまうことになります。

仕事をやり過ぎていたら、急激に体調を崩してしまうこともあるでしょう。
1日程度の休みであれば大きな問題ではないかもしれませんが、
場合によっては入院ということもあるものです。

その結果、その人が抱えていた仕事が一気に宙に浮きます。
他の人には対処できない内容であったりしたら大変です。

ストレスを溜め込んでいる人が
職場の異動で苦手な上司の下についたとき
その人間関係が「最後の藁」になることがあります。

ストレスが爆発してウツ病などの症状として表れる。

限界を超えてしまったわけです。
こういうことは、責任感が強く
頑張る人ほど陥りやすいものです。

自分の限界を知っていることも大切ですが
無理がかかってきたときの適切な対処法を
身につけておくことも重要ではないでしょうか。

堪忍袋の緒が切れる

この「最後の藁」という慣用句
英語で使われるときには「This is the last straw !!」という具合に、
省略されることもあるそうです。

その場合、「もう我慢の限界だ!」という意味になります。

ラクダの背中に乗せられる荷物が、日ごろの不満に当たるわけです。
不満を我慢して、我慢して、我慢して
そして限界に達した時に大爆発。「This is the last straw !!」と。

よほどのことがない限り、日本人が直接言われることは
少ない表現だとは思いますが、日常生活で「我慢の限界」という
体験をすることは、誰しも一度くらいあるものかもしれません。
日本語の慣用句で言うと「堪忍袋の緒が切れる」といったところでしょうか。

「仏の顔も三度まで」という言い方もありますが、
堪忍袋の緒が切れるまでに3回我慢するかどうかは人によって違うものです。

些細なことで限界に達する人もいれば、辛抱強い人もいます。
中には、今までに一度も激しく怒ったことのない人もいるかもしれません。

最近の言い方をするなら「マジギレ」といったものが近いのかもしれませんが
「最後の藁」は単純に怒りが表に出てくるのとは違います。

日本語の意味合いからすると、「堪忍袋の緒が切れた」ときには、
不満を思いっ切り表現して怒鳴り散らすイメージがありそうですが、
この場合は感情を発散させるところに意味の中心があります。

とにかく、我慢していた気持ちをワーッと吐き出す状態に近いわけです。
その意味では「マジギレ」も似たようなものでしょう。

ところが、堪忍袋の緒が切れたり、
マジギレしたりした人が、その後どのような対応をするかには
焦点が当たっていません。

ワーッと怒鳴りまくった後、次の日には何食わぬ顔で
いつも通りに接してくる人もいます。怒らせてしまった側からすると、
反省して謝罪に行ったのに相手は平然としていて
逆に驚いてしまうほどだったり…。

一方、堪忍袋の緒が切れて、
これまでとは全く違った接し方に変わってしまう人もいます。
怒らせてしまったから謝ろうとしても、一切の連絡が取れなくなってしまったり…。

限界に達すると次からの対応が変わる

どのような関係性であっても、
何かの感情を爆発させる出来事があれば
それ以降の関係は以前と違ったものになるのが普通です。

思い切って表現したことで気持ちが通じ合い
逆に仲良くなるケース。

言い過ぎてしまったという反省が気まずさとなって
ぎこちない関係になってしまうケース。

一見すると今まで通りに見えても
心の底で怒りを感じ続け、うわべだけの関係になるケース。
二度と口をきかなくなるケース。

様々な変化が起こりえますが、「最後の藁」といった場合には
限界を超えた側が、以前とは全く違う対応をするようになるという
ニュアンスが含まれます。ここがポイントです。

堪忍袋の緒が切れただけなら、
気持ちがスッキリして良い関係を続ける可能性があります。
しかし「最後の藁」の場合には、以前のような関係は無理だということなのです。

日本語で言うなら、「もう、こりごりだ」とか「まっぴらだ」とか
そうした気持ちが含まれるように思えます。

もちろん、限界に達した後、必ずしも関係性が完全に壊れてしまうことを
言っているわけでもありません。

あくまで、今までと違う状態になるということです。

些細な例でいえば、トイレの便座を下げてくれないことを
繰り返し注意していたのに、何度言っても直らないから
我慢の限界に達するという場合。

「もう、便座は下げといてって言ってるでしょ!」と爆発した次の日から
二度と注意をしなくなり、便座に気づいたら自分で下げるようになる。

「この人に言っても無駄だ」と思ってしまったわけです。
それ以外の部分での対応は変わりませんが
トイレの話だけはしなくなるという変化が起きるということです。

ちなみに、こうした諦めの気持ちの中に不満が
混ざっている状態は少し危険です。

その不満の気持ちが、ラクダの荷物として
背中に載せられている状態とも考えられます。

小さな不満で限界に達したことが、
次のレベルの不満の要因として蓄積していくことがあるのです。

ですから、諦めの気持ちを受け入れていけるように
度量を拡げるトレーニングが大切になります。

自分と相手の違いを見つけることも効果的でしょう。
NLPであれば『ポジション・チェンジ』などのスキルが役に立つはずです。

強い決断が変化を生み出す

「最後の藁」のような限界に達するとき、
そこに関わる感情は必ずしも怒りや不満といった激しいものだけとは限りません。

失望や悲しみの場合もあります。
今まで一度も怒ったことがないという人であっても、失望したり、
見切りをつけたりして「最後の藁」の体験をしたことはあるかもしれません。

たとえば、競馬が好きだったのに、
ある日の大損をキッカケに二度とやらなくなったとか。

あの人に振り向いてもらいたくて、何度もアプローチをしてきたのに
思いが伝わらない経験を繰り返し、ある日突然、熱が冷めたとか。

何度も禁煙しようと努力して失敗してきたのに
ある人の一言でタバコをやめる決意をしたとか。

限界に達したとき
人は何かの決意をすることがあるようです。

それは感情レベルの限界としての「堪忍袋」ではなく、
行動レベルでの変化に表れます。強い決心が生まれるのです。

「もう二度と、こんなことはやめよう」。
そして、実際に二度とそれをしなくなる。

「もうしないぞ」と後悔して、結局同じことを繰り返してしまうのは別物です。
日常的な反省や後悔とは違った、はるかに強い決意があるのです。
こうなると人は変化に苦労を感じません。

いわゆる転機というのは、こうした強い決断を伴うことが多いものです。
そこには「もう二度と、こんな思いはしたくない」、そんな強い動機があります。

感情を爆発させるだけなら、過去から、今この瞬間までで十分なのです。
今この場で感じている思いと、過去にも感じていた思いを全て吐き出す。
その場合には、感情を吐き出すだけで終わるはずです。

しかし、その思いが未来に向けられたとき、
状況が変わります。決断がなされます。

「これから先にも、またこのような思いを繰り返すのか…」という想像や、
「こんなことを続けていたら、10年後には一体どうなるんだ…」というような想像に対して、
強い感情が沸きおこる。

これが強烈な動機づけとなるのです。

そのような未来を避けようとして、
自然と別の行動を選択するようになるわけです。

答えは自分の中に

 

NLPは人の振る舞いを分析して、
人間の仕組みを解き明かしています。

人間の基本となる仕組みを見出していると言われます。

ですから、人間の全ての振る舞いは、
その仕組みで説明することができるわけです。

その上で、説明されたモデルを1つの技法として応用していきます。
あらゆる人間の振る舞いは、その仕組みを分析することで、
他の人にも同じことができるようになるという考え方が前提にあるのです。

とはいえ、人によって能力の違いがあるのも事実。
であれば、他の人がしている振る舞いを応用するよりも、
自分がしている振る舞いを応用するほうが確実だと考えられます。

人は様々な振る舞いのパターンを持っているものですが、
そのパターンを特定の状況でしか使っていないことが多いのです。

たとえば、夜になると気が張ってしまって寝つきの悪い人がいます。
そういう人でも、学生時代に退屈な授業を
聞いていて眠くなってしまった体験はあるはずです。

退屈な授業を聞いていたときのパターンを使えば
夜に眠ることだって本当は簡単なわけです。

それが特定の状況でしか能力を活かせていないということです。
「答えは自分の中にある」というのは、まさにそのことを言います。

別の状況で出来ているパターンを探して、
それを問題の状況で利用できるようにすればいい。
NLPには、こうしたシンプルな発想があります。

「最後の藁」も、そうした1つのパターンです。
限界に達して、二度と以前のような対応をしなくなったという
経験を持っている人なら、同じようなやり方をすることで
別の行動をやめることもできるのです。

ただ、多くの人にとって問題となるのは、
同じようなやり方を心の中で再現するのが難しいということ。

NLPには、その同じやり方を
的確にできるようにするための方法があるというだけなのです。

忘れてはいけない思い

 

今回は「最後の藁」を例にとって話を進めてきましたが、
限界を超えるやり方を応用して下さいということを言いたいのではありません。

大切なのは、「もう、こりごりだ」と思えるような苦しい経験さえ、
自分自身のために利用することができるということです。
どんな経験も自分の財産だということです。

限界を超える経験には、
数少ないからこそ人生へのインパクトが大きいという側面もあります。

それは忘れられない辛い思い出かもしれません。
あれがあったから今の自分がある、
そう思えるような転機になっているかもしれません。

「もう二度と、こんな思いはしたくない」、
その決心が成長させてくれた部分があるかもしれません。

外科医は、自分の無力さを痛感する経験を繰り返すといいます。
一人の命の重さと多くの人の期待を背負い、
それを果たせない経験をしてしまうのです。

それは避けられないものなのかもしれませんが
その後悔は、はかりしれないものだと思います。

ある有名な外科医は、その患者さんの顔は
忘れられないと語っていました。

後悔や苦しみを背負い続けながら、
二度とそういうことのないように前へ進んでいくのでしょう。

私の仕事は、人の心を扱います。
外科医ほど直接的に命を預かってはいませんが、
人への影響が大きい仕事だと考えています。

私にも深い後悔があります。
忘れられない顔があります。
絶対に忘れてはいけない出来事があります。

それは私の仕事にとって、私の人生にとって、
これ以上ないほど重要な経験でした。

後悔は悪いことではありません。
激しい後悔は、同じ苦しみを二度と
味わうことのないようにしてくれる財産でもあるのです。

本当に大切なことなら、二度と同じ過ちを犯さないためにも
その後悔にどっぷり浸ってみるのも良いでしょう。

後悔や苦しみから目をそむけ、何度も同じ思いをするくらいなら、
一度その後悔を嫌というほど味わってみる。
限界に達するまで後悔すればいいのです。

そして決心する。
これから先、本当に大切なことを大切にできるように。

後悔は、過去のためにするものではありません。
後悔は、未来のためにあるのです。

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著者

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 理事

リチャード・バンドラー米国NLP™協会認定NLP™トレーナー

早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻。卒業後、技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業の協和発酵にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。

理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、その大切さを伝えていくことを決意して独立。

理系として培ってきた観察力と論理的な説明を評価されることが多いが個人の体験に重点を置くのが信条。

NLP™、各種心理療法、サブリミナルテクニック、催眠、脳科学へ円環的にアプローチした独自のセミナーを開催。個人メンタリングも行う。「本質と可能性の追究」を信念に成長と関わる。

原田幸治トレーナー

原田幸治トレーナー

著書

  • 心を読み解く技術: NLPパート理論

    心を読み解く技術: NLPパート理論 [単行本]

  • 心が思い通りになる技術: NLP:神経言語プログラミング[単行本]

    心が思い通りになる技術: NLP:神経言語プログラミング[単行本]

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