【解説】人間関係の悩みを改善するシンプルな方法

人間関係がめんどくさい、疲れた、うまくいかない…。
気の合う人とだけ、付き合いながら過ごすことができれば、どんなに幸せでしょうか。
しかし日常には、職場や学校、友人、ご近所さんなど、切りたくても切れない縁が存在します。
「リセットしたい」「断捨離したい」と思っていてもできないのが人間関係。
では、苦手な相手と関わらなければならないとき
人間関係にストレスを感じたとき
私たちはどのような対処ができるのでしょうか。
今回は、自分と相手の問題点を分析しながら
できるだけストレスのない人間関係を築く方法についてご紹介していきます。
1.人間関係にストレスを感じやすい人の特徴

人間関係のストレスをためやすい人には
①責任感が強い
②周囲の視線が気になる
③完璧主義、などの特徴があります。
①責任感が強い
責任感が強い人は、周囲から頼られやすい反面、
さまざまな問題を自分一人で背負ってしまう傾向にあります。
職場でのプロジェクトの進行や家族内の家事や育児などは
責任感が強いあまり過度に自分を追い込んでしまうことがあります。
②周囲の視線が気になる
周囲の視線が気になる人は
自分の仕事や普段の振る舞いを評価されることに敏感です。
職場での仕事ぶりを上司に評価されることや
学校での同僚やご近所さんからの視線など
常に他人を気にしなければならず、そのことに疲弊してしまうのです。
③完璧主義な人
完璧主義な人は、自分が思った通りに進まないことに対して
過度な怒りや絶望感を感じてしまうのです。
また、他者に対しても完璧な仕事を求める傾向にあります。
夫婦での仕事や家事の分担、職場での同僚や部下の仕事ぶりなど
他人に完璧であることを求めると
理想と現実の乖離から強いストレスを感じてしまうのです。
2.人間関係は改善できるの?

①改善できるケース
自分に問題がある
自分のコミュニケーションに問題がある場合
信頼関係を構築するテクニックを学ぶことで
良好な人間関係を築くことが可能です。
後述するように、相手とラポール(信頼関係)を
形成するための様々な知見を用いることで、
自分の心の持ちようが変わったり、
相手の態度を劇的に変化させることも期待できます。
このように、自分自身の問題点は
心理学的なテクニックなどである程度改善することが可能です。
②改善が難しいケース
相手に問題がある
相手に問題がある場合、いくら自分が努力をしても良好な人間関係を築くことは困難です。
特に、本人は気づかなくても、
大人の発達障害と言われるADHDやアスペルガー
以前は人格障害と呼ばれたパーソナリティ障害などの
症状を持つ人と接する際は、必然的に関係を築くことは難しいでしょう。
このような場合は、相手を変えることは不可能だと考え
相手をより「理解」しようとする姿勢と知識が重要になってきます 。
3.苦手な相手との人間関係は解決しなくていい!

職場や義理の親、ご近所さん、ママ友など
身近な接触を避けられない相手との人間関係に問題を抱えてしまうと
逃げ場がなくなり精神的に追い込まれてしまいます。
このような場合、相手に対応の改善を求めようとしても思い通りにいかず
最悪の場合、うつ病などの心の病を発症してしまうことになりかねません。
相手をコントロールしようとはせずに
自分の問題にのみ焦点を当てることが必要です。
①相手の問題を解決することはできない
コミュニケーションにおいて相手の
問題を自分が解決することはできません。
職場で横柄な態度を取る上司や
価値観の合わない義理の親などの対応は
いくら自分が努力をしても相手の
対応がそのままだと関係は良好にはなりません。
②相手の問題と自分の問題に分けよう
いくら自分が努力をしても相手は自然に変わってくれることはありません。
あくまで相手と自分の問題は分けて考えることが大切です。
自分を基準に考え、コミュニケーションスキルを学ぶなど
自分ができる範囲内で最善を尽くすことによって
合理的な問題解決が可能になります。
③自分の問題にのみ向き合おう!
「相手を不快に感じる」「怒りが生じる」といった感情の裏側には
「こう考えているだろう」「こうしてくれるだろう」といった
自分が持っていた期待への裏切りが存在します。
相手と自分の問題を分け
自分のコミュニケーションの方法についてのみ焦点を当てます。
そうすることで相手に過剰な期待を抱いたり
裏切られたりする精神的なストレスを感じずにすみます。
自分の問題を客観的に分析することで
関係を良好にする最良な手段を探していきましょう
4.難しい人間関係、本当に疲れたときは…

人のストレスの9割は人間関係に由来すると言われています。
難しい人間関係に本当に疲れたときは
以下のような方法を試してみましょう。
①苦手意識を克服しようとしない
相手への苦手意識を無理に克服しようとすると
相手の思考を考えすぎ、自分が疲弊してしまいます。
すべての人間関係を円滑にすることは不可能だと割り切り
肩の力を抜くことも大切です。
②改善よりも「程よい距離」
苦手な相手に対してストレスを軽減する最も有効な方法は
程よい距離を保つことです。
どんな人であっても距離を保てばそれだけ自分への影響力は弱まります。
日ごろ付き合わなければならない相手であれば
程よい距離を保つことで衝突を避けることができるのです。
③得られるメリットを考えてみる
あなたは苦手な相手と友達になろうと思っている訳ではないはずです。
ママ友であれば子供の情報、ご近所さんであれば地域の情報など
日々の有益な情報を得られるメリットもあるでしょう。
苦手な相手とは「ビジネスパートナー」のような
関係として割り切って考えることも必要です。
④反面教師にする
相手のどのような行動が苦手だと感じるのかを考え、反面教師として
自分の日ごろの行いに生かしてきましょう。
「自分がされて嫌な行動を他人にしない」のは
人間関係の摩擦を減らす原則かもしれません。
⑤自分を癒す方法を知っておく
人間関係に疲れた時に限らず、自分を癒す方法を知っておくことはとても重要です。
「自分はどんな時にリラックスしているかな?」と
少しだけ意識してみると
ホッとする過ごし方を見つけることができ
悩みに苦しむ時間を短くしてくれます。
⑥専門家に相談する
人間関係の悩みは、家族や友人の他に
カウンセラーなどの専門家に相談する方法もあります。
カウンセリングと聞くと
日本ではうつ病など心の病を治療するためのものという認識がありますが
欧米では、人間関係をはじめとする日常的な悩みの解決などにも
ごく一般的に利用されています。
心理学などの専門知識を持ったカウンセラーに専門することで
具体的な解決策を一緒に考えてくれるだけでなく、
話すだけで気持ちが楽になることもあります。
カウンセラーは身近な問題に助言をくれる生活面での良き理解者となってくれます。
偏見を持たず、悩んでいるなら積極的に利用することが得策です。
5.良好な人間関係が期待できない相手とは?

良好な人間関係を築くためには
自分だけではなく相手の歩み寄りも必要不可欠です。
しかし、このような関係を期待できない相手もある程度存在します。
ここでは、良好な人間関係が
期待できない相手の特徴と対処法についてご紹介します。
対処が困難なパーソナリティ障害
パーソナリティ障害とは、多くの人とは異なる反応や言動をし
周囲を困らせてしまう人が診断される精神疾患のことで
特に対人関係を難しくする原因になります。
パーソナリティ障害にはいくつか種類があり
それぞれに以下のような特徴と対処法があります。
①自己愛性パーソナリティ障害
特徴
自己愛性パーソナリティ障害とは、自分を過度に優れて偉大な存在だと思い込み
常に自分を過大評価する一方で
周囲の努力や貢献は過小評価するという特徴があります。
相手の気持ちに対して共感できず、
人間関係で摩擦が生じることも多いことも特徴です。
対処法(接し方)
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人は、自尊心や出世欲が強い傾向にあることから
職場やコミュニティ内での地位や発言力が高いこともしばしばです。
上司やコミュニティ内で重要な立場にいる相手であれば、
できるだけ話を真に受けないように意識することが大切です。
自己愛性パーソナリティ障害は誇大自己というある種の幻想を抱いています。
彼らの持つ現実と自分の見えている現実を切り離し
いつも「話半分」で聞くことが重要なのです。
②境界性パーソナリティ障害
特徴
境界性パーソナリティ障害は、感情の起伏が極めて激しく
善悪を極端に判定したり、怒りを露骨に表現するなどの症状を指します。
「境界性」という言葉は「神経症」と
「統合失調症」という2つの心の病気の境目にあるという意味であり
人口の約2%を占め、特に若い女性に多いと言われています。
対処法(接し方)
境界性パーソナリティ障害を持つ人は、常に不安や恐怖を抱き
それによる感情を周囲に表します。
そのため、周囲は振り回され、疲弊してしまいがちです。
彼らと接する際は、まずこちら側が感情を否定せず
受容していると理解させてあげる必要があります。
また、時には物理的に距離を置くことも、長い間付き合っていくためには必要です。
③演技性パーソナリティ障害
特徴
演技性パーソナリティ障害は
自己愛性パーソナリティ障害や境界性パーソナリティ障害と同様
感情の混乱が激しくヒステリックになる傾向があるほか
虚言癖があり、被害妄想や作り話をすることもあります。
周囲の注目を集めるために
人の目を引く突飛な振る舞いをするなど
社会的な「演技」をすることに特徴があります。
対処法(接し方)
プライドが高く、周囲の反応にも敏感なため
真っ向から否定したり、指摘したりしてしまうと
かえって関係性を悪化させかねません。
日ごろの行いを改善する場合には、大勢の前ではなく
2人きりの落ち着いた環境の中で改善を求めることが必要です。
また、自身で解決できない場合は、
職場の上司やコミュニティ内で相手とより親密な人に相談し
仲介してもらったほうが得策です。
④強迫性パーソナリティ障害
特徴
強迫性パーソナリティ障害は
手が汚れているのではないかなどと脅迫観念にかられる
「汚染恐怖」や、左右対称性などの日常的な正確さに過度にこだわる
人を傷つけているのではないかと過度な心配をする、などが特徴的です。
これらの症状は周囲に対して特別攻撃的なものではありませんが
周囲に清潔さを確認したり、過度な正確さを求めすぎて
効率性が疎かになったりと、間接的な影響があります。
対処法(接し方)
しばしば潔癖症、神経質な傾向が表れるため
こちら側にもそれを強要されるとストレスを感じやすくなります。
この場合、周囲への清潔さや正確さの確認は一度のみにするなど
お互いにルールを決める必要があります。
自尊心が高すぎる、攻撃的であるといった傾向は見られないため
冷静に話し合い、周囲へ要求することの不合理性を淡々と話し合うことが重要です。
6.苦手な相手・嫌いな人と付き合う方法

ここでは、苦手な相手と付き合うための6つの心得をご紹介します。
①相手を5歳だと思ってコミュニケーションする
相手が「立派な大人」であるという前提でコミュニケーションをすると
期待を裏切られることが多くあります。
特に苦手な相手であれば、相手に言動に問題がある
意思疎通ができないといった場合もあるため
相手を何もわからない5歳だと思って接することにしましょう。
現実社会には驚くほど理解しがたい大人がいるものです。
そのような時は、子どもと接しているのだと考えることで
些細な失言や失態にストレスを感じることもなくなります。
②相手に過度な期待をしない
相手への過度な期待は、大きければ大きいほどに裏切られた時の怒りや失望
自分自身のストレスも大きくなります。
まずは「期待しすぎない」ことを心がけましょう。
その分、相手が思った以上に良い振る舞いをしてくれた時は
よい意味で期待を裏切られることになります。
③相手が上司なら、あなたが育てる
職場での上下関係の中で生じる
人間関係の摩擦は非常に辛く、特にストレスを感じやすいものです。
しかし、立場上は逆らえなくても
あなたが上司を良く理解してあげることで、
上司の感情や言動をある程度コントロールすることも可能です。
苦手な上司だからこそ、自分がうまく育ててあげる必要があるのです。
④相手が両親なら、あなたが育てる
最近では「毒親」という言葉が流行するなど
子どもとの接し方に問題がある親は少なくありません。
しかし、親であれば赤の他人よりも一歩踏み込んだ対処は可能です。
あなたが大人になったのであれば
今度は両親の大人として問題がある部分を
あなたが改善してあげることができるのです。
⑤相手がパートナーならあなたが育てる
相手が配偶者や恋愛関係におけるパートナーである場合
相手の問題行動に振り回されたり
怒りや悲しみを感じることも多いでしょう。
特別な関係であるからこそ
相手の将来を考え、少しずつ言動を
改善してあげることが必要です。
⑥自分を大切にする
「誰かを幸せにするには、まずは自分が幸せであること」は
良好な人間関係を築く準備・土台となる大切な部分です。
苦手な相手とのコミュニケーションでは
つい相手中心の関係をつくってしまいがちです。
しかし、長期的に付き合っていかなければならないからこそ
距離を取ることも必要ですし、言い方に気を配った上で
意見を述べることももちろん大切です。大人の人間関係においては
一度亀裂が生じると、修復が不可能になってしまうことも多いものです。
だからこそ、決定的な決裂を向かえないために自分を大切にし
ストレスをため込まないことも重要なのです。
7.良い人間関係を構築するには?

良い人間関係を築くためには、相手を理解し
コミュニケーションスキルを高めることが不可欠です。
ここでは、他者と良い関係を築くための手掛かりを探っていきます。
①相手の価値観を理解する
人にはそれぞれ独自の価値観があります。
相手が大切にしている価値観を否定すると
それは人格の否定にもなりかねません。
まずは接する相手が何を大切にしているのかを考え
自分と異なる価値観を尊重する姿勢が必要です。
②ストレスから学ぶ
人は人間関係でなぜストレスを感じるのでしょうか。
人は同じ価値観を持つ人と接するときには
あまりストレスを感じません。
自分と異なる価値観を持つ人と
感覚を共有できないことからストレスを感じるのです。
自分のストレスを軽減するためには
まず価値観の多様性を受け入れる必要があります。
これは非常に難しく、時には受け入れ難いこともあるでしょう。
しかし、本来他者は自分とは必ず異なるものです。
自分の中でどうしても譲れない価値をよく理解し
それ以外については、譲る精神も持ち合わせておくという姿勢が肝心です。
③「傾聴」の能力を研く
カウンセリングの現場において最も大切にされている
コミュニケーション能力は「傾聴」です。
カウンセラーはクライアントの話を聞く際、
相手の反応に積極的に頷き、相手の強調したい言葉を繰り返すなど
話の聞き方を意識することで、クライアントに
「自分の話をちゃんと話をきいてくれているのだ」と印象付けることができます。
また、相手への意見の伝え方や問いかけの仕方も重要です。
頭ごなしに否定的な意見を伝えたり
高圧的な問いかけをしたりしていると相手を追い詰め
かえって相手の反発を招き、関係は冷え切ってしまいます。
コミュニケーションは「合わせ鏡」
相手に対する態度は自分に返ってきます。
好意的な伝え方、問いかけ方が
相手からの柔らかな反応を呼び起こしてくれるのです。
8.良い人間関係を築くテクニックとは?

良い人間関係を築くためには、心理学や
NLP(神経言語プログラミング)などの
実践的な知識やスキルも大いに役立ちます。
これらのテクニックを用いることで、
時には驚くほど関係が改善することがあります。
①信頼関係を築く『ラポール』
「ラポール」とは、臨床心理学の用語でカウンセラーと
クライアントの信頼関係を意味しています。
クライアントの悩みを聞き
解決に導くことを使命とするカウンセラーにとって
クライアントとのラポールの形成は必要不可欠なのです。
ラポールを築くことは、カウンセリングの現場だけではなく
日常のコミュニケーションにおいても不可欠な要素です。
信頼のない関係に良好なコミュニケーションは生まれません。
NLPでは、このラポールをテクニックによって
短時間で築く方法を学ぶことができます。
②安心感を与える『ペーシング』
ペーシングとは、人は自分と共通点が相手に行為を抱きやすいという
「類似性の法則」に則り、相手との言語、非言語的な
コミュニケーションを一致させることで
相手の安心感を高め、信頼構築に繋げることを
目的としたテクニックです。
例えば、相手の声のトーンと合わせた話し方をすることで
相手と自分の感情を一致させることが可能です。
また、相手の姿勢や手足の位置を合わせる
頷くタイミングを合わせることも、
ペーシングのオーソドックスな手法です。
③親近感を生み出す『ミラーリング』
ラポールの形成に有効な手法のひとつには
「ミラーリング」と呼ばれる効果的な手法も存在します。
これも上述の「類似性の法則」を利用したテクニックです。
簡単に言うと「相手が頬杖をついたら、自分もつく」
「足を組んだら、自分も組む」というように、
鏡になったつもりで相手の動作のマネをします。
そうすることで、視覚的な共通点を意識的に作りだし、
親近感を持ってもらうというテクニックです。
④聞き上手になる『傾聴』
先ほど触れた傾聴のテクニックの一つにバックトラッキングがあります。
バックトラッキングとは、日本語で「オウム返し」と呼ばれ
その名の通り相手の発言を繰り返すことで、
相手の話をきちんと聞いていると示すことを目的としています。
特に、相手が重要だと思っている箇所を
繰り返すことが効果的です。
ただし、この手法はやりすぎると
かえって相手に不信感を
持たれてしまうこともありますので
過度な使用は厳禁です。
⑤苦手意識を緩和する『スウィッシュ』
スウィッシュとは、過去の好ましくない記憶を好ましい
記憶に転換することを目的としたテクニックです。
これは、まず好ましくない習慣の引き金を思い出します。
例えば、苦手な相手が自分に対して怒っている時の顔を想像します。
次に、その相手が笑顔で自分に話しかけている顔を想像し、
徐々に怒っている顔よりも笑顔の相手を強く想像するようにします。
これを繰り返し行うことにより、
相手のイメージが徐々に否定的なものから好意的なものへと変化し
相手への苦手意識が減少していくのです。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
人間関係は自分と相手双方によって成り立つものですが
世の中には自分とは全く異なる価値観を持つ人も多く存在しますし
そんな相手を直接コントロールすることもできません。
そのため人間関係をよりストレスのないものにするには
相手に過度な期待をせず
自分ができる範囲で適切な対処をすることが求められます。
また、良好な関係を築けるようにスキルを
身に着ける努力をする一方で
本当に人間関係に疲れてしまったときは
カウンセリングなどの手段を通じて、第三者に助けを求め
適切なアドバイスを受けること。
「自分の幸せを優先」し「無理に相手と向き合わない」ことも
最善の手段となることも忘れないようにしましょう。