話を聞くから共感できないのですよ

創始者米国NLP™協会認定資格取得スクール

話を聞くから共感できないのですよ

2019年06月01日

言葉にできない隠れた気持ち

他人の気持ちは理解できない。
しかし、共感力は求められている。
であれば、どのようにしていけば良いのでしょうか?

まず考えられるのが、しっかりと話を聞くということです。

あらゆる人間関係において
お互いによく話をしてみるというのは大切な原則です。

聞いてみないことには分からないことは沢山あります。

その一方で、どんなに話を一生懸命に聞いたとしても、
相手のことを100%理解することができないのも実情。
人が言葉にできることは、複雑な気持ちの中のホンの一部に過ぎません。

わざわざ言葉で表現しないこともあれば、
相手に対して本音を語らないこともあります。
何より、話をしている本人にさえ気づけていない気持ちも沢山あるのです。

例として、取引先の会社で商談をしている場面を考えてみましょう。

今までに何度か話をしてきていて、好感触を持っている相手です。
30代の男性とでもしておきましょうか。

今日も打ち解けた感じで話が進んでいきます。
ところが、途中から相手の雰囲気が変わってくる。

随分と気に入らない様子に見えます。
提案をしても不満ばかりで、話が進んでいきません。
どこが悪いのかを質問すると、色々と問題点が指摘され…。

そんな場面でも、原則は話を聞くということです。
ですが、いくら聞いても帰ってこない答えもあります。

仮に、その相手の様子が変わったのが、
商談の途中でお茶を飲んだ後だったとします。

実は、その商談の相手には、個人的に好意を寄せている相手がいた。
いつも商談のときにお茶を出してくれる人。
そのお茶を飲むと気持ちがホッとして、話し合いが上手くいく気がした。

ところが今朝、その人が結婚退職してしまうという報告を聞かされる。
よりによって相手は同期のアイツ。

「なんで、あんなヤツなんかと…」、
お茶を口にした瞬間に複雑な気持ちが湧き上がってきてしまった。
悲しみと嫉妬、怒り。そして行動に移せなかった自分の不甲斐なさと後悔。

実は、大事な商談の最中だったのに
相手にはそんな個人的な不満が溢れていました。

相手は当然、そのような内容は話さないでしょう。
そして、その気持ちを押し殺して商談に集中しようとしても、
隠しきれない不満が出てしまったかもしれません。

何にでもケチをつけたくなるような
自暴自棄な気持ちが出てしまって、
本人にも自覚がないままに商談内容の
アラ探しをしてしまった可能性もあります。

…これは極端な例で考えてみましたが
このように人は別の理由で感じている気持ちを
目の前の出来事に投影してしまう傾向もあるものなのです。

この商談の例でも、仮に、取引先の相手が
苦手な上司に怒られた後だったとすると、
イライラした気持ちが商談の最中に不満の形で出やすくなってしまいます。

そのような例は日常よく見られるでしょう。
家庭で奥さんとケンカでもしてきたのか
上司が朝から機嫌の悪いときには、些細なミスを大袈裟に怒られるなんて。

本人が気づいていなければ
どんなに質問をしても本当の答えは返ってきません。
言葉だけでは言い表せないことがあるということは、
カウンセリングや面談など、相談をうける場面でも起こりえる
重要なテーマです。

気丈に振舞ってはいるけれども深い悲しみを抱えているとか
理性的に割り切ろうとしているけれども奥底に怒りが残っているとか。
相談者の中に感情が抑え込まれていることがあります。

そうした気持ちは、なかなか言葉になるものではありません。
話してくれることを聞いているだけでは理解しようもない
大切な気持ちが、相手の中に隠されていることがあるわけです。

共感力とは、相手のそうした色々な気持ちを
感じ取っていく能力とも言えます。簡単なことではありません。

少なくとも、言葉にされたことを聞くだけでは
理解できない気持ちがあるのは間違いないはずです。

場合によっては、言葉を信じたために
本当の気持ちを理解できないこともあるでしょう。

相手の話したことを受動的に受け取るだけではなく
こちらから積極的に相手の気持ちへ
共感していくための技術が必要になるのです。

同じ言葉のはずなのに…

共感のための技術について説明する前に、
言葉というものの性質についても少し考えてみましょう。

NLPにおいては、言葉とは
「五感を通して感じられる
情報の組み合わせに対するラベル」であるという考え方をします。

分かりやすい例として、まずは『鳥』で説明します。
「羽があって、全体がフサフサした毛で覆われていて、
クチバシがあって、空を飛ぶもの」といったところでしょうか。

これを日本語では「トリ」と呼び、英語では「bird」と呼ぶわけです。

実際には、「羽」や「毛」、「クチバシ」などの言葉も、
形や大きさ、手触りなどの五感で
識別できる情報で理解されていますから、
細かく見ていくと全てのものが五感の情報の
組み合わせとして説明できると考えるのです。

ここで重要なのが、『鳥』などの「目に見えるもの」は、
多くの人が共通のイメージを持ちやすいということになります。

二人でスズメを見ながら「鳥が沢山いるね」と会話をしたときに、
「鳥?あれは魚だろう?」とは滅多にならないはずです。

しかし、客観的に「目に見えるもの」や「耳で聞こえるもの」ではないものも
、我々は言葉にしているのです。気持ちや感情は、その典型です。

感情も、表情や体の様子などから一般的に推測することができます。
おそらく小さい頃、『目から水が流れてくる』ときに、
家族から「どうしたの?何が悲しいの?」などと
話しかけられるうちに「悲しい」という言葉の意味を理解していったことでしょう。

自分自身がどんな感じになると「悲しい」のか。
それは体の感覚に対してのラベルと言えます。
体の感覚に対するラベルとしての言葉は。
他人と共有しにくいものなのです。

 

注意していただきたいのは、他人を見て
「悲しそう」だと判断するのは視覚の情報を元にしているのに対して
自分が「悲しい」と判断するときは体の感覚の情報を元にしているという部分です。

自分が「悲しい」ときに感じている体の感覚と、
他人が「悲しそう」にしているときに、
その人が感じている体の感覚とでは、
違ったものである可能性があるのです。

自分と他人とでは、「悲しい」ときの
体の感覚が違っているかもしれないのです。

世間一般で感情や気持ちと呼ばれる状態は
主に体の感覚で区別されるものですが、
これらは言葉として同じ単語で言っていたとしても、
違った体の感じ方をしているかもしれないわけです。

人によって違いが出やすい気持ちを例に挙げると、
「緊張している」という状態は個人差が大きいようです。

「緊張している」ときに、胸が苦しくなって
喉に上がってくる感じがする人。
脇腹あたりが縮むような感じがする人。

下腹部がソワソワしてくる人。
肩や背中が固まった感じがする人。
口や喉の奥が詰まったような感じがする人。

身体反応が出る場所は、人によって違うのです。
それにもかかわらず、私たちは
「緊張」の一言で済ませてしまっているわけです。

例えば、「人前で話をするときに緊張してしまうんです」
という話を聞いたとしましょう。

そのときに「そうですよね。人前で話すのって、緊張しますよね」
と答えるのは簡単です。

ところが、話をした側は緊張状態になると
「口と喉の奥の方が詰まった感じになる」人で、
聞いた側が「下腹部がソワソワしてくる」人だったとしたら、
どうでしょうか?

話をした人は、緊張すると喉が詰まった感じになるのですから
緊張することで困るのは「普段通りに言葉が発せなくなる」部分かもしれません。

声が出しにくく、息苦しい。
とにかく早く話を切り上げたい気分になってきて
自分の考えを述べるのが難しい、と。

一方、聞き手のほうは、緊張すると下腹部がソワソワする人。
下腹部に反応が出る人は、緊張してくると
何度もトイレに行きたくなるタイプです。

その人にとって緊張したときに困るのは
「トイレの苦しみや、ジッとしていられない感じ」かもしれません。

緊張の状態で感じる体の感覚が違えば
困る内容も変わってくる可能性があるわけです。

緊張で言葉が出にくくなって困る人が言った
「人前で話をするときに、緊張してしまうんです」という
一言に込められた意味は、緊張するとトイレに
行きたくなる人には想像さえできないことでしょう。

「悲しい」とか「ムカついた」とか、
気持ちを言葉で聞いたときにも、話をしている
本人が感じている体の感覚まで共感することは難しいわけです。

感覚を共有する

言葉で説明されている気持ちだけでなく、
その内側にある体の感覚のレベルまで共感できるようになると、
相手にかけられる言葉が変わってきます。

愚痴を聞くときでも、話している人の
不満の感覚が激しい怒りに近いものであれば
「それはヒドイですね!」と同調することになりますし、
不満の中にも諦めに近いものがあれば
「はぁ…、いったい何なんでしょうねぇ…」と、
やりきれない気持ちに合わせることになります。

体の感覚に共感しながら言葉を選ぶ。
高度なコミュニケーションの技術ですが、
こうしたことができれば「私のことを分かってくれる人」として
信頼を得られることでしょう。

何よりも、相手と同じ感覚を体験すること
自体がコミュニケーションに役立ちます。

同じ感覚を共有する。文字通り「共感」です。
それによって『ラポール』が築かれます。

『ラポール』とは、信頼関係や安心感ともいえるものです。
一緒にいて心地良い、打ち解けた感じを言います。

ラポールは、お互いに体験を共有することで得られるものです。
学生時代、文化祭や部活の大会などが終わった後に、
一気に仲間の結束が強くなったような経験はないでしょうか?

それは、同じ体験を共有したことで
ラポールが深まったと考えられます。

青春ドラマやマンガでよくある、
殴り合いのケンカをした
二人に友情が芽生えるというのも、
体験の共有によるラポールと考えていいでしょう。

相手と同じ体験をする。
つまり、相手と同じ五感の情報を共有するということです。

言葉で聞いた「悲しい」を、
自分の経験で知っている
「悲しい」だと解釈してしまっては、
相手の体の感覚を共有することはできません。

言葉で表わされている感覚情報に注意を向けることが
相手との信頼関係を築くコツでもあるわけです。

NLPでは特に、五感を通じた情報を大切にしますので、
気持ちや感情について質問することはありません。

気持ちや感情ではなく、体の感覚を質問するのです。
「そのときを思い出すと体の感じはどうですか?」
「今、体感覚として何を感じていますか?」という具合です。

具体的に、体のどの部分に、どのような感じがあるのか。
それを擬態語で説明してもらいます。

「胸の真ん中あたりにギューッと
重く押しつけられる感じがします」などです。

「倦怠感」や「焦燥感」などの難しい言葉は、
それを指し示す体の感覚が人によって違いますから、
できるだけ簡単で、体の感じとして
想像しやすい言い回しをするようにします。

そのように体の感覚を聞くことで、
気持ちや感情などの内面的な状態を把握していくのです。

こうした質問法はNLPのスキルや、
カウンセリングなどの特定の場面で
欠かせないほど大切なものですが、
日常的なコミュニケーションの場面で
使うには少し特殊な印象があるかもしれません。

状況を見て、工夫しながら質問していくのが良いようです。

感覚のオスソワケ

個人的な意見も付け加えれば、
あまりに直接的に質問するのも、
どこか野暮な印象を感じてしまいます。

そこで、直接的に質問をしない別のやり方で、
相手の体の感覚を共有していく方法も簡単にお伝えします。

実際には高度な技術ですから、
文章を読むだけでコツを身につけるのは難しいかもしれませんが
エッセンスだけはご理解いただけるのではないかと思います。

方法は簡単です。
相手と同じ姿勢をすればいいのです。

体の姿勢と内面の状態には密接な関係があります。
落ち込んだときには、背中を丸めて下を向き、
肩を落とした姿勢になるものです。

自信とヤル気に満ちているときは、
前方の少し高いところに視線をやり、
胸を張って大またで歩くようになります。

動作や姿勢には、その人の内面が反映されているわけです。

このことを利用して相手と同じ姿勢をとるようにすると、
自分の体の感覚を通じて、相手の内面の状態が感じられます。
姿勢を真似ることで、相手が体で感じているものと同じ感覚を、
自分の体で感じられるということです。

この技術で特に重要なのは、相手が言葉にしていない
内面の状態も共感できる可能性があるところです。

もちろん、本当に同じ感覚を感じられるかは分かりません。
ですが、相手が言葉で説明してくれたものも、
相手と同じようには理解できないわけです。

それならば、少しでも多く相手の気持ちを理解するように、
色々な方法を使うことは意味のあることではないでしょうか。

怪我をした人を見ていると、
なんだか足元にムズムズした感じがしてくる。
他人が頭をぶつける場面を見ると、思わず顔をしかめてしまう。

人には他人の痛みを共感しやすい特徴があるのかもしれません。

そして多くの人が、泣いている人を見ていると
涙の理由が分からなくても、ジワッと泣きそうな気分になってくるようです。
人には、心の痛みも共感できる特徴もあるのかもしれません。

相手のことや、相手におきた出来事が理解できていなくても、
相手の気持ちそのものには共感できる可能性があるのです。

他人の気持ちは理解できなくても、
体の感覚として共感できるかもしれないのです。

言葉にならなくても、
自分の気持ちを分かち合ってくれている人がいる。
それだけで支えになるような気がするのは私だけでしょうか?

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